埼玉のアートを楽しむ

冊子について

今日は何をしようかな?

そんなとき、ガイドブックを開いてみてください。ガイドブックには、埼玉県内のアートスポットが100か所以上紹介されています。きっとあなたにぴったりのところが見つかるはずです。

ひとり隠れ家でくつろぐもよし。友達や家族と一緒に音楽や絵を楽しみながらのカフェごはんもよし。うまくすれば、アーティストと会話が交わせるかもしれません。いつもと違う1日を過ごしてみませんか?

「SAITAMA ART GUIDE 100×α」は県内の主要スポットで配布しています。また、オンラインでデジタルブック版をご覧いただけます。

多彩なアート発信で地域再発見そして再創造へ

公益社団法人企業メセナ協議会
代表理事・専務理事 加藤種男

埼玉県下には、驚くほど創造拠点が増えてきた。特徴的な事例をいくつか紹介しよう。

まずは深谷である。「七ッ梅酒造」という酒蔵の建物をそのまま改造した創造拠点で、中心は映画館「深谷シネマ」。その他にも、古本と「七ッ梅」グッズなどを販売する「円の庭」、ギャラリー BOX マーケットなどが入居している。

北本のキタミン・ラボ舎の活動も多彩。雑木林の夏休みや、北本団地にオープンスペース「リビングルーム」を断続的に開催し、市内の空き家をリノベーションして創造活用を図る「おもしろ不動産」などを実施している。

こうした活動の先駆的な事例の一つは、KAWAGUCHI ART FACTORYであろう。元鋳物工場の一角にアーティストのアトリエを開設したところから開始し、川口市立アートギャラリー・アトリアとも協働して、川口発のアートを紹介している。同市には、「国際Dシネマ映画祭」が開催される SKIPシティがあり県の施設「彩の国ビジュアルプラザ映像ミュージアム」では、映像制作の体験など様々な事業を展開している。

川越の取り組みも多彩で、市立美術館が「アルテクルブ」「川越蔵の会」と連携して、街中アートを実現している。

こうした活動は、民間のイニシアティブにより、これまでの文化施設にない創造機能を持った拠点を開発し、新たな創造活動を開花させているのが共通項だといえよう。一方でこれを総合的にバックアップしているのが、埼玉県立近代美術館を中心に展開されている「Saitama Art Platform」形成準備事業だろう。入間、川口、川越、浦和ではミュージアムをキーステーションとしてアート散歩や様々な街中アートを展開し、街の再発見から再創造を目指している。多くの機関をつなぎ、継続してやってきた成果が上がりつつある。

アートツーリズムが、これまでの観光旅行と大きく違う点は2つある。これまでは、名所旧跡や自然を見て楽しむことに重点が置かれていたとしたら、これからは、自ら五感を総動員して体験することが重視される。「鑑賞型」から「体験型」への変化である。これと関連するが、もう1つは「一過性のイベント」ではなく、繰り返しや滞在を重視した、「生活実感型」への変化である。

これは、アートそのものの変化とも呼応している。名品や名作を鑑賞することよりも、じっくりと創造拠点に滞在し、あるいは繰り返し訪れて、ともに地域創造を考える創造参画への変化である。どちらかというと文化遺産の保存に重点が置かれてきた文化施設から、創造機能が街中へはみ出してきている。この新しい動きを体験するのが、アートツーリズムである。そのためにも、既存文化施設には創造へのさらなる脱皮が求められている。


加藤 種男(かとう たねお)
1948年兵庫県生まれ。埼玉県在住アサヒ・アートフェスティバル、すみだ川アートプロジェクト、アサヒ・アートスクエアなど、近年のアサヒビールの文化活動のすべてにかかわる。また、わが国の企業メセナ活動をリードし、「ニュー・コンパクト」などの政策提言を進めてきた。自治体などの文化施策・芸術祭のアドバイザーなども多数務め、アートNPO活動の推進にも積極的に取り組んでいる。
■主な現職・・・アサヒグループ芸術文化財団顧問、京都造形芸術大学客員教授、文化審議会政策部会委員、埼玉県芸術文化財団評議員など。 ※2008年度芸術選奨文部科学大臣賞受賞。

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埼玉県 県民生活部 文化振興課 文化振興担当

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